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インディオ

許可証を握りしめてINDIO保護区へと向かった。

アマパー州の総面積は142,815㎢。北海道が83,454㎢であるから実に北海道の1.7倍以上の面積を有していて数え切れない程の川がある。

アマゾン川に注ぐ川。独立水系を含めて全てを見たとは到底言えない。

各村の役場などで地図を見せてもらうと良い。実はGoogleマップには写っていない川が網の目のように幾重にも重なっている。

その中でエリアを絞って出発するまでに5日間を要した。

それでも元々気になっていた場所、名前の上がった地名はしらみつぶしに周った。

モーテルを使ったのは1回のみ。他は全て移動中のバスで睡眠をとった。

私には残された時間が無いのだ。

ボリビアの山岳渓流で釣りをしてから実に1週間ぶりの釣りだ!我ながら驚異的なスピードである。チンタラやっていたら2週間くらいあっという間に過ぎてしまう。

ようやくたどり着いたインディオ保護区。indio達は迎え入れてくれるのだろうか

 

なかには好戦的な部族もあるので注意が必要だが、役場や街の人達に聞いた限りでは問題無いようだ。

この時ばかりはと気の良さそうなタクシーの運転手を捕まえる。

ポルトガル語も挨拶に毛が生えた程度しか話せないので1人でも話せる人がいると本当に助かるのである。

村の写真は殆ど無い。いきなり日本人が来てパシャパシャと写されたらあまり良い気はしないだろう。

日本人として恥ずかしい事はしたくないのである。

運転手を連れてきたお陰か一気に話が進んだ。いきなり今日釣りをして良いと言うのだ。

白髪のペスカドールZiudu(ジィゥドゥ)は言った。ファリーニャ(芋を乾燥させて粉状にした食材)は3kg必要だ!

 

え!?今日はとりあえず日帰りってさっき言ってたじゃないか!?

まぁ良い。トードプレゼンチ(全部あげる)と言ったらニコニコしていた。

船の準備をするから少し待っててくれ!

という事で一緒に釣りに行くもう1人のペスカドールJosiney(ジョジー)の家にお邪魔させてもらった。

 

澄んだ目を見れば一目で分かる。

粋な男だ!

彼は家から漁の道具を取り出して見せてくれた。

こいつはデカいタライロンとピラルクに使うのさ!銛の柄はマラピニマの木で出来ているんだと説明してくれた。

物凄く硬い。日本の木刀に使われる赤樫のような硬さだ。やはり大物用はしならずに貫通力を高めるという事なのだろう。

 

小物用の銛は何処でも共通の形だ。

 

メラウーバの木は弓に使うそうだ。硬さとしなやかさがちょうど良いバランスだ。

 

ヘモ(オール)にはグアパガイの木を使うそうだ。どの素材も適材適所。アマゾネスは伊達じゃないのだ。

そうこうしているうちに舟の準備が整ったようで早速出発だ。

どうやら目的のタライロンは上流にいるようで、今日は時間も無いのでその場所まで行かずに日帰り釣行。

明日小さなカヌーで溶岩帯を押して登りながらキャンプする手筈となった。

タライロンを求めて

ジャングルに強いと言われるClaroSimもここでは無力だ。

wifiLINEに一言返信するだけで10秒以上かかってしまう。

今は悪路をバスに揺られながら空港へと戻っているところだ。

電波状況で事後更新となりますが宜しくお願いします。

 

4日間タライロンを探してアマパー州を西へ東へ探し歩いた。

アマパタライロンと名が付くだけあってこのアマパー州ではどのエリアでも3〜6kgのタライロンはいるようである。

 

 

さっさと適当な場所で竿を出せば魚は触れるだろう。

しかし夢は大きく持ちたいものだ。

折角の大アマゾンである。

10kg以上が住まう

出来れば夢の大物が住まう川で竿を振りたいのが本音だ。

 

タクシーの運転手・魚屋・市場・釣具屋・釣り人・漁師・はては宿の女将さんにまで計何百人と聞き込んだ結果、6割前後が同じ地名を口にした。

以前この地を訪れた日本人の情報は信用出来ない…

自分の目で見て聞き込んで、その写真や実物の魚を見るまで私は信用しない。

取りこぼしの無いよう、いくつもの町を訪れた。

町から村へ。村から町へ。

 

深夜の国道で長距離バスを捕まえる。満員だったら引き返すという無謀な計画だ。

できればモーテルは使わず移動中に睡眠を取りたいのだ。

街の外れにある国道まで運んでくれたアミーゴ達。

途中寄り道してギャルを2人積んできた。イケてる奴らである。

 

 

車内はGun’sが流れている。全員ノリノリだ。

日本ではこんな時代は終わってしまったなぁと少し寂しく思いながら星空の下でバスを待つ。

 

 

運良くバスは捕まったが

超絶的に太ったおばちゃんの隣しか空いていない。

これはもう隣は誰も座れ無いだろうとチケット売り場で判断され、故意に空けてあるだろう席しかないのだ。

おばちゃんはギョロりと此方をにらみ

席をパンパンと叩いて、座って良いぞ。と言ってくれた。

隣に身体をねじ込んでスグだった。爆音のイビキであるパンチが効いている…次回は耳栓も持ってこよう…

眠れないまま6時間バスに揺られやっとそのエリアにたどり着いた。

 

 

今回も旅の目的は場所探しと友好関係を築く為にあるのだ。

勿論タライロンは釣りたいが、先ずは足場を固めたい所である。

また来たい!

と思える場所ならまた来れば良いのだ。

今回は時期があっているかすら定かではないからだ。

ピロテーロ(案内人)を探そうと宿を出て直ぐの事だ。

唐突であった。

いきなり背後からハイタッチのように肩を叩かれた。

左手に持っていたコーヒーがこぼれて腕にかかった。

思わず右手の拳を握り固めて、構えながら振り向くと

 

 

なんと西村君であった

彼は2週間前からこの土地を旅して同じくタライロンを探していたのだ。

危うく殴ってしまいそうになったが、旅先で目標を同じくする日本人に会うのは嬉しいものである。

 

 

ボリビアでも3年前にマナウスで出会ったカズさんに会ったし、今回は良く日本人に会う旅である。街を歩きながら色々と話を聞くと、キャンプして上流まで登ってくれるピロテーロが見つからず、1週間前後足止めを食らっているようなのである。

 

 

ポルトガル語を私より話せる男が困っているのだからこりゃ一筋縄ではいかないな

と思いながら2人でおしゃべりしながら川辺を歩く。

やはり正攻法が良いのでは?

と証明書をもらいに役場へ。

西村君が町中の人達にタライロンが釣りたい!と話しまくっていたおかげか、私の運か

あっさりインディオ保護区の許可証を手に入れた。

開拓の旅

総合計23kgの荷物を8kgまで軽量化

80Lから25Lに厳選して詰め直す。

これは宿に荷物を預けて動くのでは無く、全ての荷物を持って身軽に動く為だ。

残りの荷物は信用のおける友人に預けて新たな旅のスタート。

地図も必ず一緒だ。

グーグルマップが使えなくなったらコイツが活躍する。

先ずはアマゾン川下流の街アマパマカパへ。

世界最大の流域面積を誇るアマゾン川の下流では水平線が見えるのみ。

完全に海です。正にHorizonte

釣具屋やメルカドは休みであったが情報は山盛り。

次なる目的地も決まりバスに乗り込みます!

いつインターネットが切れるか分からないアベントゥーラですので更新も繋がった際に行います!

チャオチャオ

治療の旅

一度竿を出したら帰り道の事などあまり頭になかった。

急ぎ足で岩だらけの激流をカヌーと共に下る。

村に戻って来たのは日が沈んだ後であった。

『どうだドクトル?デカいドラードは釣れたか?』

と仲間達が声をかけてくれる。

『最大は12kgまでだったんだ!ありがとう!また来年戻って来るよ!』

と話が弾む。

お世話になっているペスカドールの自宅に戻ると、出稼ぎに出ていたファブリカーノ家の長男が帰省していた。

深刻そうな表情で左肩を押さえながらこちらを見ている。何かを訴える目だ。

早速話を聞いてみる。スペイン語は日常挨拶程度しか話せないので問診は困難を極めるが、患部を診たら一目瞭然だった。

鎖骨骨折である。受傷から時間が経過して偽関節となっていた…

(骨折した部位がつながらず2つに分かれて治癒してしまう事)

詰みだこうなってしまっては私はどうする事も出来ない。

きっと私なら治してくれるだろうと思ってくれていたのだろう。

感謝と申し訳ない気持ちが同時に込み上げてくる。

『あなたの骨は2つに分かれてしまった。もう手術しないと治らない。骨は折れてから直ぐに治療しないと治らないんだ

解剖学書を片手に説明する。

どうする事も出来ないが仕方がない。病院には行きたくないようなのである。モヤモヤした気持ちのまま荷物をパッキングして床についた。

 

翌朝起きると目の前に手動ミシンが置いてあった。

『ドクトル!これも治せる?』と女将さん

んッ!?いやちょと待って笑。

『チャレンジしてみる。多分無理だ』

と伝えたが案外簡単に直ってしまった。ボビンが引っかかって部品が曲がっていただけだったのだ。

 

大切なミシンだったようで凄い喜びようであった。きっと旦那さんのプレゼントだろう。

こうやって人が喜ぶ顔をみるのが私の釣旅の醍醐味の1つでもある。

 

 

チャオチャオドクトル!

帰る私に皆が手を振ってくれる。

来年もまた来よう!

バイクの2人乗りで次の街まで2.3時間の道のりだ

サンタクルスのバスまで少し時間がとれたので、去年お世話になった日本人移住地区サンファンに顔を出してきた。

3年前に出会ったアミーゴ達は結婚して子宝にも恵まれていた。産後4ヶ月との事で先ずはお子さんの先天性股関節脱臼をチェック。

次はお母さんである。やはりお子さんが大きくなる36ヶ月で首周りのトラブルが出やすいのは万国共通である。

毎回診察出来るのであれば話は別であるが、やはり大切なのは壊さない事だ。特にボリビアには私の様な治療家はほぼいない様なので、トレーニング方法やセルフメンテナンスの方法を告げて勉強してもらう。

1年後にまた元気に再会しようと約束してサンタクルスに向かうバスに乗った。

次の冒険が待っているからだ。

黄金卿より帰還

無事にボリビアのEl Doradoより街に帰って参りました。

残念ながら大雨によって川は濁流となり釣果は伸びませんでしたが、やはり何度も釣り込まないと分からない事だらけ。

『はじめての1匹』も釣旅の醍醐味ですが、私は『釣り込んでからの発見』の方に魅力を感じます。

もう来年の黄金卿攻略で頭がいっぱい。

昔から相変わらずです。

では東に向かいます!

アディオス!